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「私の人生を変えた薬」

 思い返せば、私の漢方薬との出会いは研修医時代にさかのぼります。
 大学5年生のころから出始めた遅咲きのニキビ(吹き出物?)に悩み続けること数年。鏡を見るたびに、アゴから首にかけて赤く膿を持った吹き出物ばかりが気になってしまい、みんなの視線が私の顔の下半分に注がれているような気がしていました。
 そのころ、私は自分を苦しめるこのやっかいな居候(吹き出物)と闘うために、塗り薬や抗生物質はもちろん、ありとあらゆる化粧品から健康食品の類まで、およそ考えられることは何でも試してみました。けれども、そんな涙ぐましい努力にもかかわらず、この厄介者はどうしても私から離れていってはくれませんでした。
 鏡を見ると、いつもの所にまた新しい噴火口ができていて、いけないと解ってはいても、気がつくといつの間にか手でいじってしまう毎日。
 何をやっても治らないこの厄介者に手を焼いて、もはや離れられない運命と半ばあきらめかけていた、研修2年目のある日のことです。
 「お医者さまに勧めるのはどうかと思って随分考えたんだけど、騙されたと思って漢方薬を試してみませんか?」
 という、古くから漢方薬局を営まれる家のお嬢さんの言葉に、
 「そんな怪しいものが効くとは思えないけど、せっかくの友情だから」
 と半ば投げやりな気持ちで飲み始めたのが、私と漢方薬との出会いでした。
 その3か月後、職場の看護婦さんたちが入れ替わり立ち代り、私の吹き出物が治った理由を聞きに来て、静かな漢方薬ブームが巻き起こってしまったのですから、その治り様には、驚くべきものがあったに違いありません。
 このころの私は「慢性肝炎に小柴胡湯(しょうさいことう)」というようなプロトコールに沿って、漢方の「いろは」も知らず、小柴胡湯(しょうさいことう)の柴と紫の区別すらつかない状態で使っていただけでしたが、私の人生を変えた漢方薬は「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」という、いかにも毒を打ち負かしてくれそうな頼もしい名前で、漢方を専門とした現在も皮膚病などによく使っています。
 アトピー性皮膚炎への漢方治療効果は比較的有名ですが、ニキビ・吹き出物・湿疹・蕁麻疹・乾燥など、原因が複雑でこれといった治療法が確立していないものにも有効なことが多く、本人にしかわからないお肌の悩みを解決し、キレイにする力もあります。
 ぜひ、お肌に悩みを持つ方は、私と同様、”騙されたと思って”ぜひ試してみてほしいと思います。

 

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